AKB48、東京女子流、Especia……2014年、洗練化するアイドル楽曲の行方

  1月22日にニューアルバム『次の足跡』が発売されるAKB48。彼女たちが今年もアイドルシーンはもちろん、音楽シーンの注目の的であり続けることは間違いないようだ。2013年後半に発表された最近シングルからその音楽的な動向を探り、今年発売される他のアイドル楽曲にも目を配ってみよう。


 紅白でも歌われた「恋するフォーチュンクッキー」は、フィリーソウル風のストリングスが配されるなど、編曲面でも工夫が凝らされていた。最新シングルの「鈴懸(すずかけ)の木の道で……」でもその傾向は続き、かつてのガバハウスと同様のBPMの速さに、所謂歌謡ロック的なアレンジがなされてウィルソン・ピケットの「ダンス天国」を思わせる瞬間もある(よりトランス色の強いでんぱ組.incなどの作風とシンクロする面もあるが)。カップリングの「Mosh & Dive」は流行のEDM、というよりかつての派手目なトランスやユーロビートに近い感じ、「Party is over」はかつて1980年代後半に生まれたグラウンドビートを意識しているような印象。


 ももいろクローバーZが、かつてのトリッキーな作風から転じて、広瀬香美や高見沢俊彦による手堅い8ビートの楽曲を発表しているのとは好対照だ。AKB48は「王道的なアイドル楽曲」から、ビートやスタイルに気を配った音楽を志向し始めたということだろう。この調子で、時代とジャンルを横断縦断して、より幅広い楽曲にチャレンジしてほしいものだ。


 他のアイドルの楽曲の中にも、同じく一定のスタイルやビートに気を使ったサウンド傾向が見られる。東京女子流の「Partation love」(2014年2月12日)はボトムが太くなってエッジが立った80年代のPWLサウンドのようにも聞こえる。


 そしてモーニング娘。は「笑顔の君は太陽さ」(2014年1月29日)でダブステップの要素をうまく取り入れている。Especiaの「YA・ME・TE! / アバンチュールは銀色に」(2014年1月8日リリース)は少々のフェイク感が漂う、かつての80’sUKジャズファンクのようであり、やはり80’sのプレリュード系ニューヨークサウンドを思わせる部分もある。


 こうしてみると、アイドル音楽の中で、ある一定のジャンル、スタイルが取り入れられるということは、少々マンネリ化が進んでいることの表れかもしれない。だが、それは逆に言えば音楽的に洗練されているということ。マニアックな層ではなく、売れ線を狙ったアイドルシーン自体が、洗練の度合いを強めているということだろう(一方でhy4_4yhなどのように、破天荒なサイバー系のドラムンベースのビートをハードコアテクノで味付けした、洗練されずに突き進む地下アイドルもいるが)。


 ダブステップやEDMをはじめとするクラブミュージックはもちろん、さまざまなスタイルが生まれては消えていく現在の音楽シーン。今後どのような潮流が生まれ、そしてどのスタイルがポップ市場で再発見されていくのか。アイドル音楽を通して、そうした流れを追いかけるのも面白いのではないだろうか。

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